(前書き)
本作品は、かな男の恋物語のスピンオフです。
特に、櫻井部長が登場する①を読んでから下記をお読みいただくと、より楽しめるかと思います。
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ブッーブッー。
14時。ちょうど会議に向かおうとしていた私の携帯が震えた。
「今日ここ予約したから。19時に現地で待ち合わせな。」
食べログ評価3.75のおしゃれなレストランのURLが添付されている翔くんからのメール。
「わー!おいしそう(´∀`)どうもありがとう!」と手早く返信し、
会議室のドアを開けた。
どうもこんにちは。
申し遅れましたが、わたくし、ゆうりと申します。
経営企画部の櫻井部長は、私の幼なじみで
私にとっては兄のような存在。
私はというと、同じ会社の人事部で働いています。
そうなんです。
お気づきの通り、よりによって同じフロア。
完全にニアミスなんです。
翔くんは会社でも異例の出世を遂げた有名人。
バレると色々面倒なので、毎日櫻井部長とは関係のない他人のフリをしています。女優さながらの名演技です☆
でも。
翔くんも若くして昇進しているので、たまに誰かに話を聞いて欲しい日があるんでしょうね。
そんな日は私の出番です。
「へえ~~~~」「ふ~~~~ん」「そうなんだ~~~」「すごいね~~~!!」「おにぎり丸ってやっぱり美味しいの?」とテンポよく相槌を打っているだけで翔くんは元気になるし、美味しいご飯(もちろん奢りです☆)も食べられるならオールオッケーですよね!
いつも甲斐甲斐しく違う店を予約してくれるのが、本当に翔くんらしい。人に美味しいものを食べさせるのが大好きな人なんです。
さて、今日は何の話かな?
ゆ「翔くんごめん!会議伸びて、遅くなっちゃった。待ったよね?ごめんね!」
翔「おせぇよ。・・・もう全部頼んであるから。おまえの飲み物だけオーダーして。」
ゆ「さすが!!ありがとう(´∀`)わーい、何頼んだの?ここ美味しそうだったよね~~あ、すみませーん。」
~料理到着~
ゆ「おいし~~~~(´∀`)(´∀`)さすがのセレクトだね~~~ここまた来ようっと(´∀`)」
翔「だろ(ドヤ)」
ゆ「ところで翔くん、最近仕事はどう?部長さん、たいへんでしょ?今日もなんか、かな男くんにキレてたね(笑)聞こえてたよ~」
翔「キレてねーよ。普通に指導してるだけだっつーの。」
ゆ「でもさ、かな男くん頑張ってるよね!すごく一生懸命。今、経企で次の中計つくってるんだよね?こないだ私のところにも問い合わせで来たよ。話がよく分かんなくて出直しさせちゃったけど。あはは!」
翔「まじかよ(笑)笑ってる感じが、俺よりこえーだろ・・・。けど、あいつガッツあるからなー。ちゃんと鍛えれば将来有望だと思うよ。」
ゆ「そうだよね~!あたしもそう思う(´∀`) あ!将来有望といえば、潤子ちゃん!あの子ちょーかわいい!気も効くし、すごく感じいいよね。うちの部長も褒めてたよ!」
翔くんが今日話たかったのは、絶対潤子ちゃんの話だから。
そんなのお見通しに決まってるじゃない。
翔くんが話したい話題をふってあげるのが、昔から私の役割なんです(´∀`)
翔「松本な(破顔)あいつも頑張ってるよ。仕事に向き合う姿勢が真面目なんだよな~~あんまり周囲に見せないけど、すげーストイックなんだよ。あいつ絶対伸びるよ。俺ちょっと大雑把なとこあるじゃん?あいつすげー細かいところに気づくから、すげー助かってる。頑張って欲しいんだよな。あ、知ってるかおまえ?松本いま盆栽にハマってるらしくて、家で育ててるらしいぞ。女性なのに、ちょっと変わってるよな~~。あと、毎日水素水飲んでるらしいぞ。水素水飲むなんて、藤原紀香か松本かくらいだよな(一息)」
ゆ「へぇ~~~よく知ってるんだね(´∀`)さすがいい上司だな~~でも翔くんさ、毎日潤子ちゃんに振り回されてるよね?ふふ。あたしさりげなく見てるよー。」
翔「・・・っ!?は?振り回されてねーよ。何言ってんだバカかおまえ!」
ゆ「冗談でーす(´∀`)ちょっと言ってみただけー。ちなみに盆栽って高いよね?あれひとつ幾らくらいするんだろーね?潤子ちゃんに聞いてみてよ。」
翔「たしかにな~~。そうだな、明日聞いてみるわ。」
ゆ「うん。分かったらおしえてね!」
翔くんは覚えてないのかな。
盆栽の話も水素水の話も、既にわたし、3回は聞かされているということを。
毎回違う切り返しをしてあげてるから、気がついてないのかな。
あんなに頭が良い人なのに、そういうとこあるんですよね。
ま、翔くんのいいところですけどね!
翔くんはまだ潤子ちゃんのことがお気に入りみたいだから、私はそっと見守っておきます。
明日は、翔くんにおにぎり丸のおにぎりつくっていってあげよーっと!!
おわり